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2022/08/31

物流のキホン:保管について

日本物流開発コラム担当の「かんじ」です!

今回は当社コラムの企画の一つ「物流のキホン」シリーズです!当企画では、業務の中でブラックボックス化しやすい物流について、基本的な話から裏話まで解説していきながら、皆様と一緒に理解を深めていこうという企画になっています。

今回は、物流の6大機能の一つに数えられる「保管」にフォーカスを当てて解説していきます。『保管』の範囲は管理責任や法律の規制がある分野となっております。理解していないとトラブルの原因となります!このコラムでしっかりと学習していきましょう!

それでは、解説をやっていきましょう!

保管とは

保管とは、物流での意味合いとしては「モノを品質や数量を適切な管理の下で、決められた期間蔵置する」ことを指します。様々な要因によって管理の方法は大きく変わってきます。

保管に必要な物件

商品の保管を行う際に、「自社物件」もしくは「賃貸物件」の管理拠点が必要となります。

前者を使う場合、「効率的な入出庫や保管を行うための倉庫設備」を自由に取り付けることが可能です。反対に、後者の場合、保管設備の設置は「倉庫所有者が許可した範囲内」に制限されます。

物件の部分に関しては、物流活動以外でのメリット・デメリットが大きいので、そちらにも留意しておく必要があります。

自家倉庫と営業倉庫の保管における管理責任

保管の管理責任は「自家倉庫」か「営業倉庫」のどちらかによって変わります。

「自家倉庫」と「営業倉庫」の違いは、倉庫業法に基づく登録を受けているかどうかです。前者は登録を受けておらず、後者は登録を受けています。商品が寄託されている場合は必ず登録を受ける必要があります。寄託は民法657条にて定義されています。

「寄託は、当事者の一方がある者を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」

「自家倉庫」の場合は、「自社物件」や「賃貸物件」の有無にかかわらず商品の管理責任を自社で負う必要があります。「賃貸物件」の所有者に管理責任がない理由は寄託契約を交わしていないからです。その為、営業倉庫登録がされていないトランクルームやレンタルコンテナのサービスも「自家倉庫」扱いとなり、自社で管理責任を負う必要があります。基本的には、任意の保険に加入することが対策となります。

「営業倉庫」の場合は、寄託契約を交わしている倉庫事業者に管理責任が移ります。

営業倉庫の保管基準

営業倉庫の登録は国によって定められた基準を満たす必要があります。前提として、倉庫管理主任者を選任する必要があります。その上で、「保管する物品」によって「倉庫の種類」と「必要な設備」が法令で決められています。

※1

倉庫区分 蔵置可能な商品
一類倉庫第一類物品、第二類物品、第三類物品、第四類物品、第五類物品、第六類物品
二類倉庫第二類物品、第三類物品、第四類物品、第五類物品、第六類物品
三類倉庫第三類物品、第四類物品、第五類物品
野積倉庫第四類物品、第五類物品
水面倉庫第五類物品
貯蔵槽倉庫第一類物品及び第二類物品のうちばらの物品、第六類物品
危険品倉庫第七類物品
冷蔵倉庫第八類物品
トランクルーム別途記載
特別の倉庫災害の救助その他公共の福祉を維持するため物品(国が認めたもの)

※2

商品分類商品詳細
第一類物品第二類物品、第三類物品、第四類物品、第五類物品、第六類物品、第七類物品及び第八類物品以外の物品
第二類物品麦、でん粉、ふすま、飼料、塩、野菜類、果実類、水産物の乾品及び塩蔵品、皮革、肥料、鉄製品その他の金物製品、セメント、石こう、白墨、わら工品、石綿及び石綿製品
第三類物品板ガラス、ガラス管、ガラス器、陶磁器、タイル、ほうろう引容器、木炭、パテ、貝がら、海綿、農業用機械その他素材及び用途がこれらに類する物品であつて湿気又は気温の変化により変質し難いもの
第四類物品地金、銑鉄、鉄材、鉛管、鉛板、銅板、ケーブル、セメント製品、鉱物及び土石、自動車及び車両(構造上主要部分が被覆されているものに限る。)、大型機械その他の容大品(被覆した場合に限る。)、木材(合板及び化粧材を除く。)、ドラムかんに入れた物品、空コンテナ・空びん類、れんが・かわら類、がい子・がい管類、土管類、くづ鉄・くづガラス・古タイヤ類等野積で保管することが可能な物品
第五類物品原木等水面において保管することが可能な物品
第六類物品容器に入れてない粉状又は液状の物品
第七類物品危険物(消防法第九条の四第一項の指定数量未満のものを除く。)及び高圧ガス(高圧ガス保安法第三条第一項第八号に掲げるものを除く。)
第八類物品農畜水産物の生鮮品及び凍結品等の加工品その他の摂氏十度以下の温度で保管することが適当な物品

トランクルームについては第一類倉庫の施設および設備基準が必須です。

保管性能の基準を満たした施設のみ認定を受けることが出来ます。保管性能は6種類あり、複数の認定を受けることが出来ます

※3

1酒類その他の温度により変質しやすい物品 定温性能
2漆器類その他の湿度により変質しやすい物品 定湿性能
3精密機械、楽器その他の粉塵からの保護を必要とする物品 防塵性能
4絹製品、毛皮類その他の害虫による被害を受けやすい物品 防虫性能
5磁気テープ、磁気ディスクその他の磁気による影響を受けやすい物品 防磁性能
6温度又は湿度により変質し難い物品又は第一号から前号までの性能を有するトランクルームにおける保管を行う必要がないものとして寄託者の同意の得られた物品 常温及び常湿性能

※1~3は倉庫業法施行規則より抜粋。また、可読性向上のため、一部編集を行っております。原文を確認したい場合はデジタル庁のページで確認してください。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=331M50000800059

物流センターでの保管

物流センターは「保管機能」というよりは「特定の物流機能」を果たす役割が強くなっています。その為、営業倉庫が必要ではない場合があります。例えば、「貨物自動車運送事業の運送契約において一時保管用に供される保管庫や配送センター」は営業倉庫が必要ない例です。

 営業倉庫として登録している場合であっても、「数千種類の商品在庫」の中から「十数~百数十種類の商品」見つけ出して、梱包や値札張りを行う。この一連の流れを1日数百回やる現場もあります。その現場では、1日数十~数百ロット出荷される商品もあれば、月に1ロットしか出荷されない商品もあります。中には特定の時期しか出荷されない商品もあります。

 こういった規模になってくると、物流システム(WMS)による商品管理や作業導線の変更などを頻繁に行う必要があります。

 システムや荷主が求める物流サービスによって、保管のやり方は大きく変わってきます。

まとめ

物流6大機能の一つ「保管」の記事はいかがだったでしょうか? 商品の保管と言え、物流現場によって保管のやり方は大きく変わってきます。保管だけでなく、責任の範囲にも注意しましょう。寄託契約を交わしていない場合は、責任の範囲は自社で負うことになります。寄託契約を交わす際は、「利用する倉庫が営業倉庫として、寄託前に運用できるのか」もチェックしましょう。営業倉庫以外の倉庫業は罰則の対象となります。

日本物流開発は営業倉庫として運用しているので、法律的な問題はございません。専門性の高い社員・スタッフが常駐しております。「リスク分散を視野に入れたい」や「物流機能の効率化をしたい」など、物流サービスの依頼を受け付けております。ぜひ一度お問い合わせください。

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