2022/09/29
実はあまり変わらない拘束時間、「物流2024年問題」で本当に考えるべきこと
日本物流開発コラム担当の「かんじ」です! いつも当コラムをご愛読いただき誠にありがとうございます!
今回は、物流2024年問題と本当の問題はどこにあるのかについて解説していきます。
それではどうぞ!
物流2024年問題とは
2024年4月1日から働き方改革関連法により、ドライバーの時間外労働が「1年あたりの制限なし」から「1年あたり960時間の制限」に変更されます。この制限により、生じる問題のことを「物流2024年問題」と言います。
実はあまり変わらない拘束時間
平成元年2月9日から旧労働省(現厚生労働省)により、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」が告示されています。この告示により、2022年9月現在のトラック運転手に対して可能な最大拘束時間は、「1年あたり3516時間」となっております。
働き方改革関連法にて、1年あたり960時間の労働時間に制限されます。ただ、実務上の労働時間は実のところ大幅に変わりません。計算をしてみましょう。
最初に、3516時間から960時間を引いて、時間外労働を省いた拘束時間は2556時間です。
次に考えることとして、最大拘束時間は3516時間ですが、この時間には「所定労働時間」の他に「休憩時間」も含まれます。
1年間の所定労働時間=1年あたり週の数×1週間の所定労働時間
計算すると、365÷7(日)×40(時間)≒2086時間。
1年間の最低休憩時間=8時間を超える労働日数×1時間
ドライバー平均年間休日がおよそ100日(中央値も100~109日)
毎日8時間労働するとして計算すると、(365-100)×1(時間)=265時間
時間外労働を省いた拘束時間から1年間の所定労働時間と最低休憩時間を引くと、
2556(時間)-2086(時間)-265(時間)=205時間になります。
1日あたりで、205(時間)÷265(時間)×60(分)≒46分になります。
これに加えて、下記三点を考慮すると残りの205時間も消えてしまいます。
・拘束時間が18時間を超えると、夜間4時間以上の仮眠を与えなければいけない点
・法定休日は時間外労働にカウントされない点
・年間休日が法定休日しかなく、休憩時間が増えてしまう場合
思わぬ落とし穴、2023年コストアップ問題
2023年4月1日より、中小企業でも「時間外労働が60時間を超えた労働者」に対して、割増賃金率を増やさなければいけなくなります。今まで25%以上だった割増賃金率が、50%以上に増加します。
運輸・郵便業の99.7%を中小企業が占めている為、60時間を超えて働かせるような状況になると、大幅なコストアップが必要になります。
繁忙期や閑散期などにより、貨物の増減幅が大きく変わる場合は、60時間を超えて働くことが多くなります。したがって、貨物量の変動が大きいほど、運賃の値上げ増加が想定されます。
「時間外労働60時間越えの従業員を多く抱えている運送会社」のどこに問題があるのか、再検討する必要があります。時間外労働の収入減により、ドライバー離職者が増えてしまうことも懸念点です。
避けられる物流拠点
2024年問題について理解があっても、単純な運賃の値上げに応じない物流拠点も少なくありません。そうなると、運送会社は業務の無駄を減らす工夫をしていくことが想定されます。ドライバーの待機時間が多い仕事は、売上や利益の増加につながりません。ドックが少なくドライバーを待たせてしまっているような拠点は、今後敬遠される傾向が強まるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
2024年問題については、労働力不足よりも運賃の方が問題になってくると思います。本格的な労働力不足に関しては、2024年以降の法改定次第ではないでしょうか。
今後の課題としては、「ドライバーの負担を如何に減らすことが出来るか」、もしくは「運賃増加に対応できるだけの商品価値を作るか」の2点になってくるでしょう。
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