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2023/01/07

【シミュレーション】入荷時の検品工程を減らすことは出来るのか

日本物流開発 コラム担当の「かんじ」です。 いつも当コラムをご愛読いただき誠にありがとうございます! 

今回は、「商品入荷の際に検品の工程を減らすことで、作業コストを抑えられるのか」について、シミュレーションによって検証してみました。(私の実経験を元に話を展開していますが、計算が行いやすいものに調整している為、実績のある数値ではありません)

それではいってみましょう!

商品検品

前提条件

・段ボール1個に商品が平均360個入っています。

・段ボールの中身は平均30ロットで、1ロット当たりの平均量は12個です。

・毎日約3600個の段ボールが入荷します。

・商品の種類は1200種類あります。

・割れ物の段ボール数は600個とします。

・新規商品は10種類あり、「全数検品」か「抜き打ち検品」をしなければなりません。

・「伝票と入荷した商品があっているか」の確認に、段ボール1個当たり2秒かかります。

・商品は「箱から別の容器に移して、箱に戻しながら数える」という手順で、再梱包の時間を削減するものとします。この時、別の容器に移す時間は段ボール1個当たり6秒かかります。

・一人当たりの人件費を1000円とします。

・段ボール一つの開梱に3秒かかります。

・段ボール一つの封緘に3秒かかります。

・商品を数えて箱に戻す時間を含めて、作業者は1秒に平均1個検品できるものとします。

・段ボール12個に1回の割合で、商品の数えなおしがあるものとします。

実際の運用コスト

・全数検品を行う場合

全数検品は、「入荷した商品」の全てを開梱して、中身のチェックを行うやり方です。中身の商品を一つずつ数えます。

①伝票と入荷段ボールが一致しているかの確認:3600個×2秒=2時間

②入荷段ボールの開梱時間:3600個×3秒=3時間

③容器移しにかかる時間:3600個×6秒=6時間

④全数検品:3600個×360個×1秒=360時間

⑤再検品時の容器移し:3600個×1/12×6秒=30分

⑥再検品時に数える時間:3600個×1/12×360個×1秒=30時間

⑦段ボールの封緘:3600×3秒=3時間

①から⑦までの合計作業時間:404時間30分

作業コスト:404.5時間(404時間30分)×1000円=40万4500円

・抜き打ち検品(抜き取り検品)を行う場合

抜き打ち検品は、商品を取り出して、一部だけ確認するやり方とします。ここでは、種類毎に段ボール一つを開梱して、チェックを行うものとします。

①伝票と入荷段ボールが一致しているかの確認:3600個×2秒=2時間

②入荷段ボールの開梱時間:3600個×3秒=3時間

③容器移しにかかる時間:1200個(1種類1個のため)×6秒=2時間

④抜き打ち検品:1200個×360個×1秒=120時間

⑤再検品時の容器移し:1200個×1/12×6秒=10分

⑥再検品時に数える時間:1200個×1/12×360個×1秒=10時間

⑦段ボールの封緘:1200×3秒=1時間

①から⑦までの合計作業時間:138時間10分

作業コスト:138.167時間(138時間10分)×1000円=13万8167円

・可能な限り検品を減らした場合

基本的なチェックは、「伝票に記載された段ボール数」と「入荷した段ボールの数」だけを確認するものとします。新規商品は、抜き打ち検査を行うものとします。また、「軽く箱を押して、入荷商品に大きな不足がないかの確認」や「箱を振ってみて、破損商品が入っていないかのチェック」を行うものとします。箱押し確認は段ボール1個につき1秒かかります。破損チェックは段ボール一つにつき3秒かかります。加えて、数えなおしは1度だけ発生するものとします。

①伝票と入荷段ボールが一致しているかの確認:3600個×2秒=2時間

②商品不足のチェック:3600個×1秒=1時間

③破損チェック:600個(割れ物商品)×3秒=30分

④入荷段ボールの開梱時間:10個×3秒=30秒

⑤容器移しにかかる時間:10個×6秒=60秒

⑥抜き打ち検品:10個×360個×1秒=1時間

⑦再検品時の容器移し:10個×6秒=1分

⑧再検品時に数える時間:10個×360個×1秒=1時間

⑨段ボールの封緘:10×3秒=30秒

①から⑨までの合計作業時間:4時間33分

作業コスト:4.55時間(4時間33分)×1000円=4550円

費用対効果の検討

今回のケースでは、「全数検品をした場合」と「可能な限り検品を減らした場合」で39万9950円のコスト差が生じます。このコストより多くの不足や物損を見つけなければいけません。下記は「全数検品」で「可能な限り検品を減らした場合」より多くの「過不足と破損」を発見しなければならない個数になります。

1個当たりの平均単価が100円の場合:3999.5個分相当

1個当たりの平均単価が500円の場合:799.9個分相当

1個当たりの平均単価が1000円の場合:399.95個分相当

1個当たりの平均単価が5000円の場合:79.99個分相当

出荷総数は129万6000個になるので、PPM(1ppm = 100万分の1)に直すと下記のようになります。(小数点以下は四捨五入)

商品単価が100円の場合:3999.5×129万6000個×1/100万≒3086ppm

商品単価が500円の場合:799.9×129万6000個×1/100万≒617ppm

商品単価が1000円の場合:399.95×129万6000個×1/100万≒309ppm

商品単価が5000円の場合:79.99×129万6000個×1/100万≒62ppm

上記より、物流センターに商品が届くまでに、上記ppm分の商品イレギュラーが発生しないのであれば、コスト面における全数検品のメリットはないと言えます。この前提は全数検品のイレギュラーを発見率が100%で、可能な限り検品を減らした場合は0%であることが前提です。

物流センターに届くまでに1000ppmのイレギュラーがある場合、全数検品の発見率が95%で、可能な限り検品を減らした場合で50%程度でしょう。この場合は差分が45%なので、上記のppmに100/45を掛けた数値のppmまでは、「可能な限り検品を減らした場合」の方が優勢です。

商品単価が100円の場合:3086ppm×100/45≒6858ppm

商品単価が500円の場合:617ppm×100/45≒1371ppm

商品単価が1000円の場合:309ppm×100/45≒686ppm

商品単価が5000円の場合:62ppm×100/45≒137ppm

上記の候補で考えると、物流センターに届くまでのイレギュラーが1000ppmなので、単価が500円と1000円の間で、全数検品の方が優勢に変化していますね。単価700円台をボーダーで考えて、低ければ「検品工程を減らしたやり方」で、高ければ「全数検品を行うやり方」がコスト面を考えたベストになります。

「全数検品をして発見できない分が5%もあるのか?」や「検品工程を減らして50%も発見できるのか?」という疑問もあるでしょう。

前者に関しては、「間違っていないものも数える」という前提があります。1000ppmが前提条件なので、「100万個の内1000個のイレギュラーがあり、全て数えたけれども50個を見逃してしまった」ということと同義です。「1秒に1個ペースで検品」と「12回に1回の数えなおし」をするだけで、100万回中50件のミスで抑えられるという意味です。

後者に関しては、「イレギュラーの内訳」にあります。ミスの量が減れば減るほど、大きなミスが占めるppmの量が増えます。「箱に書いてある商品と中身の商品が違う」や「大量の汚破損がある」、「丸ごとパッケージがない」、「本来の商品の半分しか届いていない」等が大半を占め、「大雑把な検品」と「ピッキング過程での発見」でも、この辺りは確実に拾うことが出来ます。故に、50%は発見可能なのです。

まとめ

ここまでのことを考慮に入れると、「物流センターに届くまでのPPMを減らすこと」が可能であり「商品単価が低い」条件であるほど、入荷検品の簡素化によりコストを抑えることが出来ます。

ただ、このやり方は「理論在庫と実在庫の非一致」を招く要因にもなります。出荷検品をきっちりと行えば、誤出荷件数は抑えられますが、「商品欠品もしくは遅延」を防ぎきることは出来ません。物流センターの後工程で、柔軟な対応が出来なければ成り立たない手法です。

EC物流では、「注文してお金を払ったのに、商品が届かない」という事態が起こる要因になります。「実在庫より少ない量しか注文できない、通販上で在庫切れ扱いになってから在庫を数えて、在庫していた分を売る」というような仕組みでも作らない限りは、上記の事態を防ぐことは難しいでしょう。

「物流センターの前後工程との連携次第では、検品工程を減らすことでコスト削減は可能」ということが、この記事の結論となります。

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