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2022/09/30

物流現場でロボティクス化が進まない理由

日本物流開発コラム担当の「かんじ」です! いつも当コラムをご愛読いただき誠にありがとうございます!

9月13日に国際物流総合展に行ってきました!!所感としては、「ロボティクス化はまだまだ時間が掛かるだろうな」というのが正直なところでした。

今回は「なぜ物流現場でロボティクス化が進まないのか」について解説していきます。

それではどうぞ!

物流センターのビジネスモデルに相反するロボティクス化

業務内容の変動性質

物流センターの役割は、「輸配送網の効率化によるコストカット」や「荷主の要件によるサービス対応」などがあります。輸配送網の効率化に関しては、工場や小売店の立地によって最適な場所は変わります。荷主の経営方針によってサービス内容が変わるため、物流センター内の作業内容も変えていく必要があります。短期契約を求める荷主もたくさんいるので、定期的に業務内容の変更が必要になることがあります。

物流センター内の人手不足事情

物流センター内の人手不足は、やる人がいないから人手不足というわけではありません。「人手を追加すると利益が出なくなるから、人を入れることが出来ない」ということが本音です。物流センターでは、1年を通して毎月の様に業務量が大きく変化します。繁忙月に合わせて雇用を行うと、閑散月に人手が余ってしまい、赤字経営になるリスクが出てきます。その為、閑散月に仕事が定時に終わるような採用計画を行い、繁忙月に「残業」や「派遣労働者の利用」による補填を行う経営になりがちです。特に、標準化が進んでいない物流センターでは、「業務に慣れている社員が残業した方が利益になる」という状況も存在します。その為、現場の人員が足りない状況に陥りやすくなることが、本当の人手不足の現状です。

ロボットを導入しにくい理由

まず、懸念すべき点は、コストの高さによるリスクです。初期投資費用の回収だけでも数年かかるものが多くあります。この数年の間に、業務内容の変更があり、使わなくなってしまうことを考えると、導入をためらう会社や事業部はかなり多くあるでしょう。

次に考えるべき点は、「ロボットが仕事を代行しても、業務の変化量に違いが出なければ人手不足の解消につながらない」ということです。前述したように、繁忙月と閑散月の仕事量に違いがある限りは、必ず人手不足が起こります。ロボットの役割が「繁忙月と閑散月の業務量の差を減らすもの」でない限り、人手不足の解決になりません。

最後に一点挙げますと、「まだロボットより人の方が業務スピードははやく安い」ということです。全体的に、展示会を回っていて感じましたが、人がやった方がスピードはあるという感じでした。物流センターはドライバーの拘束時間を減らすためにも、「スピード命」なところがあるので、導入検討は難しいと思いました。運用コストの点で見ても、導入コストとリスクを考えると、人件費を3~5倍にした方が安いのではないかと思ってしまいます。

本当に欲しいモノ

物流のビジネスモデルを考えると、状況の変化が起きても大丈夫なものがほしいと考えてしまいます。今回の展示会では、「積み替えなしで商品を取り出せるオリコン」や「屋根に設置するだけで電気代を抑えられるシート」など、こちらの方にコスパの良さを感じてしまいました。安い分リスクが低くなるところもよいと感じる点です。

もう一点価値があるとすれば、ソフト面(システム系)でしょう。ハード面(ロボット系)と比べても原材料費が掛からないので、昨今の物価高を考えるとソフトの方が導入のハードルが低いです。運用を考えてもソフト面の強化の方がハード面と比べて、現場の改善効果が高いことが現状です。

まとめ

いかがでしたでしょうか??

物流センターの運営側がロボットの導入を避ける理由を知っていただけると幸いです!

個人的には、「ロボットの所有は作成者側にして、必要に応じてレンタルできるサービス」があれば、導入検討できるのかなと思っています。

物流センター側で保守メンテが出来ないと、貸し借りも容易でなくなることも難点ですね。特に、「ライバル企業にロボットを貸す」ということは簡単ではないでしょう。

そうなると、制作側がレンタルサービスを行うのがベターではないでしょうか??

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