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2022/11/11

米ドル高はバブルだった?物流視点から見る金融の変化

日本物流開発コラム担当の「かんじ」です! いつも当コラムをご愛読いただき誠にありがとうございます!

10/20には1米ドル150円まで上がりましたが、11/10時点で1米ドル141円まで下落しましたね。

今回は、金融の仕組みについておさらいした上で、物流視点での金融の変化について解説していきます。

国内の金融政策の仕組みについて

金利の仕組み

民間の銀行は、個人や法人から資金調達を行い、調達元に金利をつけて支払いを行います。資金調達で集めたお金から、個人や法人に対して、調達時より高い金利をつけて貸し付けを行います。資金調達と貸し付けの繰り返しにより、民間の銀行は利益を得ることが出来ます。

民間銀行の資金調達元は、個人や法人だけでなく、日本銀行(中央銀行)や他の民間銀行も含まれます。民間銀行が他の銀行に借入をする際、貸付側の銀行は利子をつけることが出来ます。

ゼロ金利政策

日本銀行が民間銀行に対して、利子ゼロで貸付を行うことを「ゼロ金利政策」と呼びます。民間銀行は金利無しでお金を調達できるので、少ない金利で個人や法人に対して出資することが可能になります。一方で、個人や民間からの預金を行う必要性は弱まるため、調達時の金利も低く設定されます。

また、市場の資金流通量が増加します。

マイナス金利政策

「準備預金制度に関する法律」により、民間銀行(指定金融機関)は「日本銀行が定めた準備率分の金額」より多くの資金を日本銀行に預金しなければなりません。この時、超過分の預金に対して、マイナス金利をかけることをマイナス金利政策と呼びます。

マイナス金利が掛かることで、日本銀行に預金をするほど資金が減ります。その為、民間銀行は個人や法人に対して融資を増やそうとします。

また、市場の資金流通量が増加します。

物流視点で見るドル高の理由とは

米ドル高の要因の一つとしては、アメリカの物価高により、FRBが金利を引き上げたことが挙げられます。では、なぜ物価が上昇したのでしょうか?

物価上昇は物流視点で、主に3つあります。

1つ目は、コロナによる港湾荷役不足の影響により、輸入品の流通量が一度に低下したことです。アメリカで港湾荷役作業者の間で、コロナが蔓延したことにより、作業者が一度に多く減りました。それに伴い、業務遂行能力が低下し、入港待ちの船舶数が大幅に上昇しました。港湾荷役の運営は専門資格所有者を必要とする為、人員の補充はかなり難しいものです。結局、港湾荷役の人員不足問題は解決せず、各地でストライキが起こる状態です。この影響は、一番の輸入貿易相手国である中国での物価高にも影響しています。

2つ目は、アメリカ大陸全体で干ばつが起こったことによる物価高です。干ばつの影響で、アメリカ大陸各地で農産物の価格が上昇しています。また、アメリカ中西部では、干ばつにより河川の水位が低下しており、座礁を避けるために河川輸送の制限が行われています。船舶の代わりに、鉄道やトラックで商品輸送を行う必要があります。すでに、トラックドライバーが不足している状況のアメリカでは、物価高の大きな要因になります。

3つ目は、ウクライナ情勢による石油価格の上昇により、物流価格が高騰していることでの物価上昇です。ロシアのウクライナ進行により、西側諸国はロシアに対して経済制裁を行っております。経済制裁により、ロシアからの石油輸入が難しくなります。つまり、他の国から石油を購入しなければならないため、石油価格が上昇してしまいます。ロシアの石油産出量は世界全体の1割を占めるので、かなりの影響があります。

米ドル高はバブルだったのか?

物流視点で米ドル高の要因を考えると、どうしても米国の貨幣価値が高まったとは思えません。生産性の面で見ても、GDPの成長率が過去50年で数%を前後しているのに、たった1年半程度で、日本やECと比べて、通貨価値が30~40%程も上がることに対して、対応できるものでしょうか?

個人的な見解としては、バブルではないかと思います。

長期的に見て、米国一強になるとは思えません。

まとめ

物流視点で見た、金融に対する見解はいかがでしたでしょうか?

通貨価値に関しては、不確定要素多いため、断言できることはありません。ただ、「物流が大混乱して物価高になっている米ドルが強い」ということには疑問符が出てきます。

兎にも角にも、日本で石油価格の高騰や物価上昇に影響が出ていることは事実です。今後は運賃の上昇が進むので、物流センターによる効率化が重要になってくることは明白です。当社は流通加工を得意としたDC(在庫型物流センター)です。

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