2022/08/29

物流のキホン：3温度帯

日本物流開発コラム担当です！

当社では2022年5月、埼玉県戸田市に500坪の3温度帯倉庫を開設しました。（センター名称：日本物流開発戸田コールドセンター）今回は上記にちなみ、『3温度帯』の定義について解説していこうと思います！

3温度帯とは？

『3温度帯（さんおんどたい）』とは、配送・保管時の温度指定に使用され、一般的には常温・冷蔵・冷凍を指しています。これを聞いて「自分が普通に生活できる温度が常温！肌寒い温度が冷蔵！凍えるように寒かったり、液体などが凍る温度が冷凍！」と考えていれば大丈夫と思う方々もいるかもしれません。しかしながら、実際はそれぞれ細かい温度範囲が定義されているのです！今回のコラムではそこについて勉強していきましょう！

3温度帯それぞれの温度指定とは？

温度帯の区分や名称には多少の違いがあったりはしますが、一般的には常温（ドライ）＋10℃～＋15℃、冷蔵（チルド）＋5℃～－5℃、冷凍（フローズン）は-15℃以下と区分されています。「このぐらいは誰でも知っているよ！」と思われてこの記事から離脱しようとしているそこのあなた。。。もっと詳しく説明していきますので、もう少し読み進めてみてください！m(_ _)m（笑）

簡単には覚えきれないほど細かい温度の区分

倉庫保管業務を行うにあたり、特に生鮮食品などを扱う場合は更に細かい適切温度範囲が定義されております。適した食品分類を踏まえつつ記載すると、下記の通りとなります。

・加温：＋20℃以上【ピザ、フライ類など】

・常温（夏場の高温期は「定温」と言われる）：＋10℃～＋20℃ 【チョコレート菓子、米、マヨネーズ、ドレッシングなど】

・冷蔵（チルド）：＋5℃～－5℃【乳製品、精肉など】

・氷温：０℃～－3℃【鮮魚、漬物など】

・パーシャル：－3℃【鮮魚類】

また、倉庫業法では更に区分がされております。

・冷凍 C1級：－10℃～－20℃【パン生地・調理用冷凍食品（-18℃）】

・F1級：－20℃～－30℃【アイスクリーム類（-25℃）】

・F2級：-30℃～－ 40℃

・超冷凍 F3級：－ 40℃～－ 50℃【冷凍マグロなど】

・F4級：－ 50℃以下

食品を正しい保存方法で扱うためには、上記のような温度範囲を知っておく必要があります。

「－ 40℃～－ 50℃なんてどのくらい寒いんだろう。。。」と思われている方もいると思います。筆者も以前、冷凍倉庫で－ 20℃フロアに少し滞在した後、隣の－ 50℃フロアへ一瞬入らせてもらったことがあるのですが、寒いのだけれど、もはやどれだけ寒いのかが体感でよく分からなかったという感覚を覚えております。（笑）

4温度帯とは

更に今度は『4温度帯（よんおんどたい）』という概念も存在しております。上記3温度帯に、＋10℃～＋20℃の一定温度と湿度が保たれた温度帯『定温』を加えたものが4温度帯です。定温は取り扱う商品によって、指定の温度が変わる場合があるため、しっかりと確認を行う必要があります。また、定温で扱われる食品は、冷蔵ほど冷やさず、一定の温度での保管が望ましい物です。ワインやチョコレートなどが該当します。

間違いやすい表現

ちなみに、『定温』と同じ発音の言葉で『低温』があります。これは非常に認識を間違いやすく、注意が必要です。それぞれの定義は下記の通りです。

・定温：＋10℃～＋20℃の一定温度と湿度が保たれた環境

・低温：冷凍に近い温度帯のこと。0℃以下を低温と表現することが多く、鮮魚の輸送や保管をする際に低温という言葉を使用する場合があります。

食品物流では温度や湿度変化も考えることが重要

食品は、温度や湿度の急激な変化により傷んでしまう物が多いです。物流センターはただセンター内だけの商品毎の適温を考えるのではなく、【入荷⇒保管⇒出荷⇒店舗陳列⇒エンドユーザー】の流れの中で、大きな温度・湿度変化を商品に与えてしまうプロセスが無いかをしっかりと考えた上で物流サービスを提供する必要があります。エンドユーザーの口に食品が運ばれるまでをしっかりと考え抜くことが、安全で高品質な物流サービスへ繋がります。