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2022/07/11

Amazonと楽天市場の比較:楽天編

これからECショップを始めるとなった際、ECモールを利用することは有効な手段の一つです。今回は、数あるECモールの中でも特に有名な「Amazon」と「楽天市場」について比較していく企画となっています。

中編となる今回では楽天の基礎に着目し、その特徴を前編では、世界有数のトップ企業であるAmazonに焦点を当てました。第二回では、日本のEC市場でAmazonと双璧をなす「楽天市場」について取り上げ、その特徴を解説していきます。

楽天市場

楽天市場は1997年に開設された日本最大規模のECモールです。1億2,700万人の会員IDがあり、2021年度のEC流通総額は5兆円、出店店舗数5万5千店舗以上にものぼります。ニールセンデジタル社の調査では、2021年4月期において5370万人が利用しており、同年月でAmazonよりも多い利用者になっています。これからECモールに出品していくにあたって、利用しない手はないでしょう。

楽天市場出店形態の特徴

楽天市場で商品を販売するには、3つある出店プランのどれかに登録する必要があります。それぞれ、登録可能商品数や出品データの画像容量、月額出店料などに違いがあり、用途に合わせた登録が重要です。また、原則どのプランも契約期間中のプラン変更は出来ませんので、注意が必要です。

がんばれ!プラン

主に、「これから楽天市場にてEC事業を始められる事業者様向けのプラン」となっております。月額登録料は最も安いですが、システム利用料が他プランに比べて少し高額になっている点がネックです。後述しますが、料金設定が似通ったスタンダードプランでは、月間売上が160万円になったタイミングで、がんばれプランの手数料が割高になります。売上見込みの段階で月商120万円を超えてくるような場合、スタンダードプランを選択する方が良いでしょう。

スタンダードプラン

この3プランの中で一番おススメのプランです。スタンダードプランの特徴として、①がんばれプランに対して手数料が安いこと、②月額登録料もメガショッププランに対して抑えられること、の2点があげられます。登録可能商品数や掲載可能な画像容量に制限がありますが、大量のアイテム数を販売するような形でなければ、このプランに登録するのが良いと思われます。

メガショッププラン

主に、大量の型番商品を扱う事業者様におススメのプランです。主な特徴として、①登録可能商品数が無制限、②画像容量が無制限な点があげられます。楽天市場で大規模なビジネスを行う事業者様向けのプランとなっています。

楽天市場を利用するメリット

無料でコンサルタントが利用できる

楽天では、出店事業者様毎にECCと呼ばれる担当コンサルタントがつきます。今まで楽天が蓄積してきた情報を基に、メソッドを提示してもらえるものとなっております。これは月間出店料に含まれているため、追加費用無しで利用できます。

しかし、出店者様のレビューを見てみるとあまり良い反応をされている方は少ないようです。ECC一人につき100件以上の企業様が割り振られているらしく、現状「楽天の広告営業マン」になってしまっているようです。ただ、ECCを上手に利用すれば、無料広告等のおいしい話を持っていることもあるようなので、上手く付き合っていくことが重要です。

別途サービスを利用しなくてもロッカー配送、コンビニ配送が使える。

楽天市場では、コンビニや日本郵政宅配ボックス(はこぽす)等の自宅外受取サービスを無料で利用できます。競合ECモールであるAmazon.comでも「Amazon Hub」というAmazon専用のロッカーやコンビニ受取が出来るシステムがあるのですが、こちらはFBA納入をしていないと利用できません。エンドユーザー様の中には「置き配は怖いから、ロッカーやコンビニで受け取りたい」というニーズが一定数あります。楽天市場を利用すれば、FBAのように追加で費用を払わなくてもこのニーズに対応できます。

他モール配送も同一料金のRSLを利用できる

楽天市場には、『楽天スーパーロジスティクス(RSL)』というフルフィルメントサービスがあります。RSLを利用することで面倒な物流業務から解放され、商品開発、販売活動に注力することが出来ます。また、RSLは他のECモール発送であっても、通常配送料金と同一で対応してもらえます。よく比較対象となるAmazonにも「FBAマルチチャネルサービス」という同様のサービスがありますが、他モールからの出荷の場合は別途手数料がかかります。楽天市場以外にも出店されている事業者様にとって、他モールでも同一料金で対応してもらえるのは大きなメリットです。

楽天で商品を販売する際のデメリット、注意すべきポイント3選

出店料が高い

楽天市場の大きなデメリットが、その出店料の高さです。楽天市場の月間出店料は他のECモールに比べてかなり高額になっています。最も高額になる月間出店料に加え、システム利用料やRMS利用料等、かなり多くの手数料がとられてしまいます。楽天に出店する際、しっかりと手数料を計算に入れた上で価格設定をしましょう。

新規出店に厳しい検索システムとシステムの広告の必要性

楽天の検索システムは新規出店者に対して厳しく、広告を投稿する必要が迫られます。楽天の検索エンジンのシステム上、「今まで売上実績が高い事業者様」が検索上位に出てきます。また、モール内で同様の商材を扱っている業者が多数いるため、新規出店者は必然的に検索エンジンだけで売上を伸ばしていくことは難しいです。結局、売上を伸ばしていくためにはECCを利用して広告を投稿することになるのですが、そこでも更に費用がかさむことになり苦戦を強いられることになるでしょう。

RSL導入のために受注管理システムを導入しないといけない。

楽天が提供しているフルフィルメントサービス「楽天スーパーロジスティクス(RSL)、非常に便利なサービスですが、こちらの導入にも難点があります。それは、楽天がサービスを導入する際、受注管理システム(Order Management System:OMS)を導入しないといけない点です。基本コストが高い上に必ずOMSを導入しないといけない点はマイナスといえるでしょう。楽天グループ内では「BOSS」というOMSを提供しており、月額\10,000で利用できるようになっています。

楽天出店の基礎を知り、上手に活用していきましょう!

楽天での販売は、WEBサイトのレイアウトデザインや、コンビニ・ロッカーへの追加配送料無し等、前編で取り上げたAmazonと相対するサービスが多いです。

楽天市場やRSLで出来ること出来ないことやデメリットもしっかりと把握し、物流業務委託や物流部門の構築等の選択肢を考慮しなければなりません。

次回では、いよいよAmazonと楽天の特徴から2社を比較してまいります。

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